アンドリス ネルソンス ゲバントハウス
天才指揮者現る!
もちろん、私がこれまで知らなかっただけだが、出だしの一音から、ドダメルに匹敵する天才指揮者だと感じた。
指揮者:アンドリス ネルソンス Andris Nelsons
オーケストラ:ライプチッヒ ゲバントハウスオーケストラ
Gewandhausorchester Leipzig
曲目:シューベルト 交響曲第7番
Franz Schubert Sym. Nr.7 "Unwollendete"
ブルックナー 交響曲第4番
Anton Bruckner Sym. Nr. 4 "Romantische"
Brahms: Symphony No. 4 / Nelsons · Berliner Philharmoniker
昨日(2017年5月25日(木曜日))は、すっかりヒゲ面になっていましたが。
シューベルトも全曲通して満足な演奏を聞かせてくれたが、やはり圧巻だったのはブルックナー。出だしの弦のトレモロはほとんど聞こえない音だったが、逆にオーケストラの緊張感が十分に伝わってきた。ホルンソロも全曲に渡り朗々と響いた。私も最初はブルックナーにとっつきにくく、マーラーのように、明確な旋律が多く聞こえてくるわけではないブルックナーは退屈しがちだが、ネルソンスは旋律を十分に歌わせて旋律をよく聞かせてくれた。全体に渡り緊張感が途切れることがなかった。
しかし、驚いたことに、多分私のムジークフェラインでの経験で初めてだと思うが、曲修了すぐに数名の「ブー」が聞こえた。以前批評家の方が「ブルックナーの曲の構造を理解できていない指揮者は演奏するに値しない。即刻、***(有名なブルックナー指揮者)は演奏をやめるべきだ。」と厳しいコメントをされていたが、私には曲の構造が理解できるわけもなく、豊かな旋律をたくさん聞かせてくれたネルソンスにブラボー。会場もほとんどがブラボーの嵐だったが、一部反対する人がいる、というほどの実力の持ち主なんだろう。
今日も、別演奏で聞く予定
ティーレマン シュターツカペレ・ドレスデン
昨日、今日(2017年5月22日(月)、23日(火))と二日にわたってティーレマン シュターツカペレ・ドレスデンの演奏会を聴く。
22日
フォーレ:劇付随音楽「ペレアスとメリザンド」
ラベル:ピアノ協奏曲
シェーンベルク:ペレアスとメリザンド
Christian Thielemann
Sächsische Staatskapelle Dresden
Klavier: Daniil Trifonov
フォーレはあっという間に終わり、印象に残らず。
ラベルはピアニストのトリフォノフが抜群にうまく、感情豊かだった。すぐ横の日本人カップルが「もうマツ―エフはいらない」などと誰かが言っていた。とのことだったが、確かにうまいし情感豊か。2楽章のピアノソロは弱音を情感豊かに高い緊張感を継続して演奏し、すっかり引き込まれた。
ラベルのピアノコンチェルトもとてもいいですね。
Trifonofのラベル演奏
Ravel Concerto in G - Trifonov
シェーンベルクは、当方の勉強不足で良くわからなかった。
もう少し勉強します。
Schoenberg: Pelleas und Melisande / Thielemann · Berliner Philharmoniker
23日
R.シュトラウス:四つの最後の歌
R.シュトラウス:アルプス交響曲
Christian Thielemann
Sächsische Staatskapelle Dresden
Sopran: Renee Fleming
2日目はR.シュトラウス。
特に四つの最後の歌は、シュワルツコップ/セルの名盤が好きで、容姿も端麗なフレミングが歌うとあって最高に期待していったが、正直あまり心を動かされなかった。フレミングの声が十分に通っていないように感じたが、会場はブラボーの嵐で、アンコールで4,5回も呼び出されていたので、受け取り側(私)の問題なのか?
アルプス交響曲でも前半は、前日と同じでティーレマンもシュターツカペレ・ドレスデンも極めてうまいのはわかるが、気持ちが入っていかなかった。中盤以降「頂上にて」のオーボエソロあたりからティーレマンの指揮にも力が入り、私の気持ちもどんどん吸い込まれていった。もう、ソリストのうまさと曲の壮大さとがあいまって、最高の終盤となった。
ただ、今日もすぐ近くの女性が倒れ、一時どうなるかと思ったが、すぐに気が付き立ち上がったので事なきを得た。切符は売り切れで、立見席も満員状態だったので、少しきつかったのだろう。
ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデンの四つの最後の歌とアルプス交響曲があった。
Richard Strauss: Four Last Songs, Alpine Symphony - Anja Harteros, Christian Thielemann (HD 720p)
グラーツフィルのマーラー1番
昨日(2017年5月20日、日曜日)は、ムジークフェラインでグラーツフィルを聴いた。
指揮:ディルク カフタン : Dirk Kaftan
オーケストラ:グラーツフィルハーモニー : Grazer Philharmonisches Orchester
ソプラノ: ソフィア ブロンマー : Sophia Brommer
曲目: フランツ シュレッカー :Franz Schreker
皇女の誕生日 バレエ組曲 : Ballettsuite zu "Der Geburstag der Infantin"
Franz Schreker : L'Anniversaire de l'Infante, suite de ballet (1928) 1/2
アンリ デュパルク :Henri Duparc
歌曲
- 「旅へのいざない」(L'invitation au voyage, 1870、シャルル・ボードレール詩)
- 「戦っている国へ」(Au pays où se fait la guerre, 1870、テオフィル・ゴーティエ詩)
- 「前世」(La Vie antérieure, 1884、ボードレール詩)
- 「ロズモンドの館」(Le manoir de Rosemonde, 1879、R. de Bonnières詩)
- (以上、訳・年代と詩の作者は wikiからのコピー)
- (Chanson Reiste, J. Lahor詩)
マーラー :Gustav Mahler 交響曲第一番 Sinfonier Nr.1
前半の2曲は、オーケストラ(?)もこちらももう一つ気分が乗っておらず、今ひとつ面白くなかった。指揮者も良く、オーケストラも上手だったがなぜかいまいち。
前回も書いたが、フランスの曲はどうもつかみどころがわからず、集中できない。
ここには、バーンスタイン/ウィーンフィル を貼っておきます。
Mahler: Symphony No. 1 "The Titan" / Bernstein · Vienna Philharmonic Orchestra
後半のマーラーも1楽章前半まで、「今日はやっぱり乗らないな!」とあきらめ気味だったが、1楽章中盤以降、指揮者もやたら力が入り、聞いている方もどんどんのめりこんでいった。この指揮者の特徴は、区切り区切りの休符をおそらくこれまで聞いた指揮者の中でもきちんとわかる程度に長く取るような指揮であった。一瞬の無音があるのは結構好きだ。曲の区切りでの休符なので、曲の流れが中断された印象はなく、次への入りが明確になってよい。
大昔、学生時代1980年ごろにバーンスタインがニューヨークフィルと京都会館で演奏したマーラーの第一を思い出した。踊るバーンスタインが、例によて重要な場面で飛び跳ねたり、終楽章のヤマ場で金管が立ち上がったりとパワー全開のステージだったが、今回のカフタンも1,2楽章の終わりはタクトを振り下ろすのではなく、振り上げてフィニッシュを決めるスタイルのため、前にいたカップルは毎回面白がっていた。
フィナーレで、トランペット・トロンボーンは立ち上がらなかったが、ホルンは全員立ち上がって演奏していた。開口部が後ろにあるホルンはオーケストラ全員がフォルテで演奏しているときにメロディーを吹いても負けるので、立ち上がって演奏する支持があるのかな?
いずれにしても、演奏後はブラボーの嵐だった。
決して有名な指揮者、オーケストラではなかったが、大満足。
ハーディングのブラームス1番
今日(2017年5月18日(木))は、今朝の新聞で見つけた、ウィーンコンツェルトハウスでのハーディング指揮スエーデンラジオシンフォニーオーケストラのコンサートへ行った。
指揮:ダニエル ハーディング Daniel Harding
バイオリン:ジョシュア ベル Joshua Bell
オーケストラ:スエーデン ラジオ シンフォニーオーケストラ
曲目: ピエール ブーレーズ Rituel in memoriam Bruno Maderna
エルンスト ショーソン Poeme op.25 für Violine und Orchestra
モーリス ラベル Tzigane, Rapsodie de concert für Violine und Orchestra
ブラームス 交響曲 1番
ブーレーズの曲は、楽器の配置が特殊だった。舞台上は大きさの異なるタムタム(銅鑼)が20個以上配置され、舞台中央に金管楽器、弦楽器、木管楽器と特殊な打楽器は舞台と2階客席の左右前後の4か所に配置されていた。玄人には評判の高いブーレーズだが、素人の私には良くわからなかった。曲の始まる前にハーディングも一緒に解説者が一部曲と特殊な打楽器の説明があったが、それでも曲の理解とは程遠かった。25分。
休憩をはさんでショーソンとラベル。遠目から若手のバイオリニストと思っていたが、ウィキペディアを調べるとアメリカ生まれの49歳。ショーソンの出だしより、「良いバイオリニスト」と思ったが、ラベルでは確信に変わった。ラベルは最初から最後まで強い緊張感で聴衆を引き付けた。元来、印象派のラベルやドビッシーは、曲のとらえどこがわからず、あまり得意な作曲家ではないが、今日のラベルは非常に良い。
五嶋みどりのラベル
Joshua Bell のチャイコフスキー
Joshua Bell - Tchaikovsky - Violin Concerto in D major, Op 35
最近の気づきだが、良い演奏というのは音量が大きくなる時よりも弱音の際、強い緊張感により聴衆を一気に引き付ける力があるかどうか、だと思う。気持ちの入っていない演奏は、いくら有名な演奏家でもピアノやピアニッシモが単なる弱い音になってしまう。
ハーディングのブラームスは期待通り。良くオーケストラをコントロールして、終楽章に向けて盛り上げていた。ブラームスの1番を演奏会で聞くのは何十年ぶりか。前回いつ頃どのオーケストラで聞いたか記憶にない。
3月のドダメルのベートーベン全曲演奏でも感じたが、改めてオーソドックスなベートーベン、ブラームスなどの曲を美しいと感じた。最近は大編成のマーラー、ブルックナー、ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィチなどの曲を好んで聴き、それ以前のものは編成が小さく楽器種類も少ないので「少し退屈」ぐらいに勝手に思っていたが、やはりオーソドックスな曲も美しい。あっという間の45分。
Harding - Brahms Hungarian dance
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今日(2017年5月15日(月曜)は、初めてアン・デア・ウィーン劇場で、ハイドンの「天地創造」を聴いた。
Video tour of the Theater an der Wien. 2010.
この劇場は、モーツアルトの魔笛を上演したシカネダーが皇帝の許可を得て建設したもの(ただし、当時のものとは違う)。
国立歌劇場、フォルクスオーパーに続く3番目の劇場だが、しばらくはミュージカル専門の劇場だったらしい。
曲目:ハイドン 「天地創造」
指揮:Laurence Equilbey
オーケストラ:INSULA ORCHESTRA
コーラス:ACCNTUS
ソプラノ:Mari Eriksmoen
テナー:MartinMitterrutzner
バリトン:Daniel Schmutzhard
ハイドンの「天地創造」は、好きで何度か聞いていたが、旧約聖書の内容も理解していないし、言葉もわからないため少し退屈だった。
今回の上演は、舞台で天地創造の7日間を視覚的で理解できるようになっていた。言葉の詳細は分からなくとも視覚から入ってくるイメージと音楽が重なり、予想以上の感動を生んだ。
舞台まで手の届くような距離、ソリストや合唱団員が客席まで降りてきて歌い、劇場の一体感がとても良かった。女性指揮者はキビキビした指揮で古楽器オーケストラをコントロールしていた。
コーラス全員がiPadを持ち、雪、水、火などを画面で流したり、ライトでソリストを照らしたりと、コンピューターでの映像やiPadとの連携がとても斬新な演出となっていた。
ウィーン国立歌劇場とは全く趣の異なる良さをこの劇場が気づかせてくれた。
ゲルギエフ ミュンヘンフィル
今日、2017年5月14日(日曜)は、ムジークフェラインでゲルギエフ指揮のミュンヘンフィルを聴く。
ラベル クープランの墓
チャイコフスキー チェロとオーケストラのためのロココの主題による変奏曲
チェロ Andre Ionita
リムスキー・コルサコフ シエラザード
今日は、3つの出来事があった。
1)チェロの曲が始まって数分で「ブン!」と大きな音がして独奏チェロの弦が切れた。演奏を中断して独奏者は一度引っ込んだが、すぐには弦を張り替えられず、オーケストラの前列の一人からチェロを借り、その人はステージから引っ込んだ。ラベルで少し緩んだ会場の空気がいっぺんに引き締まり、独奏者への温かい注目が集まると同時に、独奏者も集中力が増して緊張感のある演奏となった。アンコール2曲。一曲目はピチカートのみの演奏。2曲目はバッハの無伴奏チェロソナタかと思ったが、もうすこしこちら側の作品か?
2)チェロの弦が切れて、交換し、2楽章のチェロ独奏の最中に立見席中央後ろの女性が倒れた。過呼吸のような激しい息をしており、会場から出されたが、その後休憩時には 窓に向かって少し落ち着いて座っているところを見れてほっとした。
3)シエラザード始まる前の休憩時、突然、日本女性に声をかけられ、2階中央席チケットが余っているから譲ってくれる、とのこと。何か ボーとしていて、なんとなく受け取って席に着いた。突然でとっさのお礼の言葉がでなかった。反省しきり。2階正面席はオペラハウスのギャラリエに近い印象。オーケストラが俯瞰できる分、圧倒的な音量が直接届いてくる。1階の立見席はどうしてもこの2階席が屋根となって、音の大部分が遮断されていることが改めてわかった。
本当に、きちんとお礼ができず申し訳ありませんでした。素晴らしい席を経験できました。ありがとうございます。
肝心の演奏は、というと、これまでCD,YouTubeで持っていた印象通り。どうもゲルギエフの演奏からは心を揺さぶられない。シエラザードの素晴らしい独奏やオーケストラの圧倒的な音量からも悲しみや楽しさが感じられない。これは受け取り側のこちらの思い込みが強いせいかも??
ミュンヘンフィルは、弦が左から第一バイオリン、チェロ、ビオラ、第2バイオリンの順。これはそう特別ではないと思うが、打楽器群が正面左手にいるのは初めて。
ピアノ四重奏曲
今日(2017年4月26日)は、ウィーンムジークフェラインのブラームスザール(室内楽用のほどよい広さの美しいホール)
でピアノ四重奏曲を聴く。
曲目
マーラー ピアノ、バイオリン、ビオラ、チェロのための四重奏曲 a-Moll
モーツァルト 同上 g-Moll KV 478
ブラームス 同上 g-Moll op.25
(アンコール)
シューマン 同上 作品 47から2楽章
チェロ:Harriet Krijgh
バイオリン:Baiba Skride
ビオラ:Lise Berthaud
ピアノ:Lauma Skride
いずれも20‐30代の若手女性演奏家
どの曲も初めてのものばかり。あまり期待していかなかったが、マーラーは若いころの習作なので、しょうがないがモーツアルトもブラームスも熱演で引き込まれた。
特にアンコールのシューマン。チェロのメロディーが最高に素晴らしく思わず目頭が熱くなる。
これまで、交響曲やオペラばかりで室内楽は、生意気にも「退屈」と思っていたが、少しは理解できる年になったか。
思わず中古レコード点でシューマンのピアノ四重奏曲レコードを購入。
これから室内楽の広大な海を楽しむことができる。
楽しみ。